個展「酒場とアトリエ」
二階へつづく階段をあがり
扉を開けて、中に入る
油絵の具、水彩絵の具、紙に描かれたデッサンと…
近づきたくて、知りたくて
探る気持ちで画面に触れた
お酒をそばに絵を眺め
ゆらりゆらり、そこに漂ってみた
こんばんは、こんばんは
グラスのかちん
階段をあがる誰かのタンタンタン…
気配の重なる音が聴こえる
描かれた絵も
ちょっと、話しかけてみようと思った
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手塚真梨子 個展
「酒場とアトリエ」
2024年10月1日(火)～10月15日(火)
17:00～23:00
※水曜、日曜、祝祭日はお休みです
Bar 十月
東京都新宿区歌舞伎町1-1-10 2F
新宿ゴールデン街 G2通り
tel 03-5272-1171
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油彩画、水彩画、デッサン…アトリエに散らばる色々を壁に飾ります。
お酒をそばに、ゆらゆらと漂って…
ご一緒できましたら幸いです。
●毎日お店へ顔を出せたらと思っています。
時間の予定は
10/1(火) 17:00～
2(水) 定休日
3(木) 20:00～
4(金) 17:00～
5(土) 17:00～20:00 →南海のお店番へ
6(日) 定休日
7(月) 18:00～
8(火) 20:00～
9(水) 定休日
10(木) 17:00～
11(金) 20:00～
12(土) 17:00～20:00 →南海のお店番へ
13(日) 定休日
14(月) 定休日
15(火) 17:00～
●南海のお店番のこと
以前に開催しましたBar十月での個展がきっかけで
ゴールデン街のお店「南海」のお店番をさせていただくようになりました。
毎週土曜日、20:00～0:00に開けています。
会期中の土曜日もopenいたします。
Bar十月からも近いですよ。はしご酒などいかがでしょう。
のんびりお待ちしておりますね。
●個展を終えて
個展を終えて
十月が暮れていく
十月一日から半月の間
バーの壁に絵を飾らせていただいた
この場所では二年ぶり、三度目の個展だった
店内にはマティスのおおきなポスターが飾られていて
これは二十年前に贈られたものと聞いた
お店は二十年、続いている
ずっと、何かしらの展覧会をやってきたそうで
作品を飾ることを受け止めてくれる空気が、お店にできているように感じた
そわそわと緊張しているのは人間のわたしだけ
絵は、最初から居場所を見つけたようだった
新しく描いたもの、何年も前に描いたもの
油彩画、水彩画、デッサン
実験中の珈琲の染みの重なり
思いつきのメモ、言葉
詩集
…色々を持ち込んで
「ここはアトリエ」
そう決めたのだ
“二階へつづく階段をあがり
扉を開けて、中に入る”
以前に借りたアトリエ部屋を重ねた
築五十年を越える古いアパート
二階の角部屋
ちいさな流しが一つあるだけの、六畳間
畳の上にベニヤの板を敷いて
絵の道具を持ち込んだ
夜更けには、ストーブの上で湯を沸かして珈琲を作った
同じ階に他に住人はなかったので、とても静か
ポトポト…と珈琲ができていく音が小川のように広がった
“お酒をそばに絵を眺め
ゆらりゆらり、そこに漂ってみた
こんばんは、こんばんは
グラスのかちん
階段をあがる誰かのタンタンタン…
気配の重なる音が聴こえる”
バーでの個展は、賑やか
話し声、人の顔、聴こえてくる音楽と
開かれた扉
境界線はすこし曖昧になって
普段とはちがった場面が現れる
久しぶりに逢えた人
もう一歩踏み込んでみようとする言葉
カウンターの中に飾った、白い紙に鉛筆で描いた、顔のドローイングをときどき眺め
これは初日の緊張と重なるような、かたい表情をしていて
…と、ここまでかいて
絵を描きたくなった
力強く、絵の具で、カラフルに
描く前に糖分を欲してプリンを食べて
勢いで二杯目の珈琲を作った
インドネシアの珈琲が、今朝の雨に染みていく
硬い、つるんとした白い紙
柔らかくしたくて、手でちぎる
そこに絵の具をのせた
勢いよく進んだ、ちいさな画面にのった色々
これは、皮膚の内側なのだと思った
いつもは皮膚に覆われ、守られているから見えない
そうか
個展中、カウンターに飾ったドローイングは
皮膚だったのかもしれないな
守るための、仮面のようなところもあって…
もっといろんな可能性もありそうだけれども
ひとまず
顔をつづけて描いてみようと思った
2024.10.25
